Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~




3年A組、柏木雅。
6月生まれ、慎重179センチ体重65キロ。
趣味、特技ともに剣道。黒髪、銀縁眼鏡のイケメンで成績は中の上。


保健室の前で私をゾンビから助けてくれた人。



柏木先輩についてビックリしたことは3つ。


まず、そのプロフィールを澪と小百合が言ってのけたこと。
ちょっとした有名人どころか1、2年女子の間では結構な人気らしい。


そして、およそ敬意とは無縁の純也が〈さん付け〉で呼んだこと。
熊みたいな柔道顧問ですらタメ口で、『弱い奴は尊敬なんかできねえ』が持論の純也が珍しく自分より強いこともあっさりと認めている。


最後は武志。これが一番ビックリだった。


「柏木先輩って……あの、人殺しの……?」


と、とんでもないことを言い出したのだ。


「えっ!?」


「……ひと、ごろし?」


これについては澪も小百合も私と同じで驚いていた。


「サッカー部の先輩が言ってたんだ。俺達が入学する前、先輩達が一年生の時……」


武志はそこまで言うと、紫音先輩をチラリと伺う。


「事故よ」


先輩はちょっと困り顔で小さくため息をついた。


「剣道の試合中、雅くんが放った突きが相手の喉に刺さって……。当たりどころが悪かったのね。彼はそんな危険人物じゃないわ」


その言葉に純也も大きく頷いている。


噂にはおひれがつきものだけど、まさか事故が殺人呼ばわりされているなんてなんだか気の毒な話だ。


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