Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

武志も2人の態度を見て納得したらしく、


「それで、その柏木先輩は今どこに?」


と話を進める。



けど──。


「それが、3限目までは教室にいたんだけど、4限目から見あたらないのよ」


先輩はさらに目尻を下げて困り顔になる。


「あの──」


そこで私は保健室で目覚めてから教室に戻るまでのことをはじめてみんなに話した。




まさかそれが、みんなが行動に移る切っ掛けになるとは思わなかったけど……。


「それじゃあ、雅くんは教室に戻ったのね」


「はい」


「行き違いか……」


先輩は一瞬残念そうにした後、唇に指を当てて考え込み、


「捜しに行ってくるわ」


と愛用の弓を手に持ち、矢筒を肩に背負った。


「私が戻るまでに、一緒に脱出するかここに残るか決めておいてね」


「えっ!? センパイ?」


言うが早いか、紫音先輩は小扉の方へと歩いていき、ゆっくりとドアを開け外を確認する。



すると、


「俺も部室に行って武器取ってくるわ」


と純也もそれに続き、


「おい! 純也、待て! ──みんな、一人一人この後どうするべきか考えておいてくれ。澪、俺も行ってくる」


と武志まで。


「た、たけし!?」


急な展開に、私と澪と小百合が止める間もないまま、


「あおいさん、鍵かけておいてね」


という声とともに扉は静かに閉まっていくのだった。

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