Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「行こう」
準備が整うと武志の号令で体育館を出た。
太陽は眩しかったけど、密閉された空間より暑さは感じなかった。
武志を先頭にゆっくりと音を立てずに進み、体育館と校舎の間にある渡り廊下の横に差し掛かる。
さっき私が気絶して、幸希とはぐれた場所……。
だけど、誰もそのことに触れようとはしなかった。私も今はそのことを考えたくはなかった。
渡り廊下には10体ほどのゾンビがうろついていたけど、こちらを向いても襲いかかってはこない。
少し離れて音を立てずに進むと、気付かれずに校舎裏まであっさりたどり着くことができた。
いままでは憶測でしかなかったけど、これでゾンビはほとんど目が見えないことが確定した。
ほっと胸を撫で下ろしていると、少し先に紫音先輩の姿が見えた。
隠れるでもなく、じっと校舎を見上げている。
なにをしているのだろう?
近寄りながら、先輩の目線を辿っていく。
と────。
バリンッ!
教室の窓ガラスが勢いよく弾け飛び、4階からなにかが降ってきた。