Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
ドンッ!
──バタバタバタ。
……う、ん?
ベッドで眠っていた私は大きな物音で目を覚ました。
なんだろう……。
まだ、重たい瞼を擦っていると、ふあぁ~っと大欠伸がでる。
上半身を起こして壁掛け時計を確認すると。
うそっ!
短い針は十ニを回っていた。
保健室に来たのが朝のホームルーム前だから、四時間は眠ってしまったらしい。
もうすぐ四限目が終わってしまう。
保健の先生に許可を取ったわけだけど、こんなことなら無理しないで家で眠ってればよかった。
だけど、爆睡したおかげか、だいぶ頭はスッキリとしていた。
立ち上がって大きく伸びをしてカーテンを開いた。
しんとした室内には誰もいない。先生はどこかへ行っているらしい。
そういえば、さっきのあれは、なんの音だろう。
起きるきっかけになった大きな音。何かがぶつかったような、誰かが走り去っていくような……。
まだ授業中のはずなんだけどな。
確かめようと、入り口まで行って扉に手をかけた。
けど……開かない。
おかしいな。
鍵は掛かっていないから、そんなはずはないんだけど……。
横開きのドアは外側から何かに押さえつけられているような重さがある。
何度か力を入れて試してみたけどやはり開かない。
仕方なく、両手を使って体重をかけ一気に横にスライドさせてみる。
ガラガラガラ────ガンッ!
「きゃっ!」
勢いよく扉が開き尻餅をついてしまった。
「いった~い」
打ち付けたお尻を擦っていると、目の前に何かが倒れ込んできた。
……コトン。
── えっ?
なに……これ……。
あまりの出来事に一瞬、頭が真っ白になってしまう。
その扉を塞いでいたであろう倒れ込んできた物体を見て、生まれて初めて言葉も忘れて息を飲んだ。
……うそ、だよね。
全身が総毛立ち、体がブルブルと震え出す。
意味が分からない。……なんで……どうして……。
…………今、私の目の前に転がる物体。
それは──。
白衣を真っ赤に染めて白目をむく保健の先生だった。