Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
ふと、柏木先輩と目が合う。
「君は……」
見とれていたせいか、その、ちょっぴり影がある瞳で見つめられると、なぜだかドキドキとしてしまい。
「あうっ」
変な声が漏れてしまった。
「無事でよかった」
「あ、その、えっと……さっきは、助けてくれてありがとうございます」
なんとか取り繕ってお礼を言うと、隣にいる澪がニヤニヤと私を見上げてきた。
「な、なに?」
「ふ~ん……」
「えっ、なによ」
「べ~つに~」
「ちょ、ちょっと! なんなのよ、もうっ!」
睨みつけてやると、澪はクスクス言いながら武志の元まで逃げてしまった。
そんなに私の変な声、おかしかったのかな。
「みんな、いいかしら」
そこで、紫音先輩が私達に向き直って、ちょうど輪の形になる。
私はすぐに頭を切り替えた。
「みんなもここまで来たってことは、一緒に避難するってことでいいわね」
全員が頷く。
もう誰も迷ってはいない。
「まずは、学校を出る方法なんだけど、正攻法でいいかしら」
「正攻法、ですか?」
よく分からずに聞き返すと、一人だけ意味が分かったらしい武志が、
「本気ですか」
と、青い顔になる。
すぐにその驚きがなんなのかは私達にも理解できた。
その後、先輩がさらっともの凄いことを言ってのけたから。
「正面突破よ」
と。