Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
止めどなく流れる汗もそのままに走る。
もう少しだ。
門は目の前。
あとちょっとで学校を抜け出せ────────えっ!?
「きゃあっ!」
短い悲鳴。
もう少しと言うところで、前を走っていた澪が何かに躓いてしまった。
疾走の勢いそのままに、豪快に頭からダイブし、地面に体を打ち付けながら転がっていく。
私はすぐに止まることができず、一端通り越してから向きを変えた。
後方からは、すごい数のゾンビが追いかけてきている。
だけど、────────澪!
考えてる暇はない。
震えそうになる足を叱咤して、急いで引き返した。
「澪! しっかりして!」
傍らに膝をつき、肩を揺する。
「……うっ……い、たい……」
苦痛に顔を歪めてはいるけど意識はある。
「ち、ちからが……はいらな……い」
「大丈夫。私がはこんでい──」
その時だった────。
「あおいさん後ろっ!」
私の言葉を遮り、紫音先輩の声が耳に響いた。
私は反射的に弓を引き絞り、振り返った。
目の前には髪を振り乱し、はだけた胸元が抉れている女子生徒のゾンビ。
すぐに矢を射なくては殺される。
だけど……。