Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

…………死んでいる。


しばらく呆然としていた頭に、最初に飛来したのはその言葉。


首から大量の血を流し、全身血塗れでピクリとも動かないし、何より青白い口元からは呼吸音が聞こえない。


でも、もしかしたら気絶しているだけかもしれない。
とにかく、誰かを呼ばなくては……。


震える手を握りしめ立ち上がると、廊下の奥からバタバタと何人かの男子生徒がこちらへ走ってくるのが見えた。


「あのっ! 先生が──」


私は助けを求めて、なんとか振り絞って声を出した。


それなのに。






「触るなあああああ!」
 


呼び止めようとした私の手を先頭の男子が必死の形相で振り払うと、横たわる先生を次々に飛び越えて通り過ぎて行く。


全員が全員、何かに怯えたような表情で……。


飛び越えたということは、血だらけで倒れている先生に気付かなかったはずはない。


なのにどうして?
死んでいるかもしれない人を放っておくなんて……。
まるで、恐ろしい何かから逃れるように……。


──逃げる?


ハッとして、男子達が走ってきた方を振り向いた。



すると──。






…………何かがいる。





ゆっくりと、足音を忍ばせるように、さまようように歩いている。


あれは…….





……せんせい?


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