Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「心配すんな。俺も囮になる」
「……純也?」
「大丈夫だ。俺は強い。雅さんはもっと強い」
「……バカ……そんなこと、分かってる。私が言いたいのは──」
「ああ~、わかったわかった。そんじゃあ、先輩の家に着いたら、お返しにうまい物作ってくれ。適材適……ん~、なんとかってやつだ」
純也はそう言うと、私に背を向けて先輩2人と言葉を交わし先に大通りへと向かってしまう。
「まったく、何が適材適所よ! 言えてないし!」
「……あおい」
ぶつぶつ言ってたら、澪が心配そうに近寄ってきた。
「怒ってるの?」
「お、怒ってないよ。他に方法がないんだから仕方ないし」
ただ……私は子供だから、うまく納得ができないだけだ。
その証拠に、
「みんな。ここはあの2人に任せましょう」
紫音先輩は、ちゃんと現実を見据えている。
みんなもそう……。
駄々をこねているのは私だけ。
私は、澪を心配させないように笑顔を作ってから、大通りに足を踏み入れた。