Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
私と澪はアスファルトに上履きをゴシゴシと擦り付けて、滑らないことを確認した。
澪を立ち上がらせ、再び歩き始めようとすると、
「あれ?」
武志達の姿がない……。
私達が立ち止まったことに気付かなかったのだろうか。
「うそっ、置いてかれちゃったの!」
「澪、声大きいよ」
「あっ、ごめん」
声のトーンを下げて、進行方向を探すと横転した大型トラックが目に入った。
「あの裏側じゃないかな」
完全な死角になっているのはあそこぐらい。距離はさほど離れていないはずだからきっとそうだ。
「行こう!」
「うん」
その時────ドーンと、まるで見計らったように目指そうと思っていたトラックが爆発炎上した。
「きゃあ!」
「ぁっ!」
破片が飛び散り熱風が頬をかすめ、もくもくと黒い煙が上がる。
ガソリンタンクに引火したのだ。
「澪、平気?」
「うん。ちょっと熱かったけど」
危なかった。
もう少し近づいていたら、大火傷するところだった。
しかし、危機が去ったわけではない。
爆発音を聞きつけたゾンビが、どこからともなく現れ始めたのだ。