Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「ぐあっ!」
胸部に当たった矢は至近距離でも、威力はあるはず。
軽薄な男が胸を押さえてのたうち回る。
でも、そのせいで目の前の男が逆上し、
「てめえ!」
「──っ!?」
私の腹部に激痛が走った。
鳩尾を金属バットで殴られたのだ。
……苦しい。息が、できない……。
膝をついて倒れた私を仰向けにして男が跨がってきた。
「ふ、ふざけやがって! 黙って犯(や)られてろ!」
……壊れてる。
この男達は人間じゃない。
抵抗できない私のブラウスを、男が力任せに引っ張り、ボタンが弾け飛ぶ。
「あ、あははははっ! ざまあみろおおおお!」
「うっ……」
まだ、誰にも触らせたことのない胸が鷲掴みにされる。
痛い……。でも、まだ呼吸もままならない。
「いやああああああっ!」
そこへ、澪の悲鳴がまた響いてきた。
どうして……。
倒したはずの男がまた澪に覆い被さっている。
私が射た矢は確かに当たったはずなのに。
「ざ~んねんだったなあ、女子校生っ!」
澪を押さえつけながら軽薄な男が、胸ポケットから携帯電話を取り出した。
画面が壊れている。
矢はあれに当たって怪我をせずに済んだのだ。
せめて、澪だけでも。そう思ったのに……。