Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
家の中は、紫音先輩と武志がすでに調べていて、安全は確認してあった。
鍵は開いていて、人もゾンビも誰もいなかったようだ。
唯一家にいた母親は非難したと柏木先輩は言っていた。
それを聞いて十畳以上ある広い座敷に、みんなでぐったりと腰を下ろす。
紫音先輩がグラスに注いで来てくれてた水を一気に飲み干すと、胃に直接染み渡っていく。
安心すると、「はあ~」と自然に口から大きな息が吐き出される。
まさに、やっと一息つけた状態だ。
「でも、はぐれた時のことを話し合っておいて正解だったわね」
「ああ」
「紫音先輩が、ここの場所を知っていて助かりました」
先輩2人と武志が話始める。
いつの間にそんな取り決めをしたんだろう。全然知らなかった。
「ねえ、そんな話したっけ?」
柏木先輩に借りた服を着て、隣で横になる純也にボソッと聞いてみると、
「あおいが、ふてくされてた時」
と、興味なさそうに答える。
「え、私、ふてくされてなんか……あっ!」
言い掛けて気付いた。
大通りを渡る前、柏木先輩が囮になるって言った時だ。
……。
結果的に、私は足手まといにしかなってないから、なんだか自己嫌悪だ。
弓だって、落とさないように持って走るのが精一杯で全然役に立ってはいないし、さっきだって軽率な行動を取ってしまった。
協力して逃げなきゃいけないのに……。
疲れのせいか、なんだかマイナス思考に陥ってくる。