Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~



「ほあ~、生き返る~」


「気持ちいいですぅ」


澪と小百合が、湯船に浸かってゆるい顔になる。


いつ電気が止まるか分からないということで、急いでお風呂に入ることにした。


中はゆったりとしていて広かったので、どうせならと女子は4人で一緒に入った。


その間に、血や埃まみれの衣類は洗濯機で洗い、乾燥機で乾かすことにしたからさっぱりできそうだ。


ブラウスは破れていて着られそうにないから、柏木先輩からシャツを借りた。少し大きめだけど、学校指定のワイシャツだからそんなに違和感はない。


気分もリラックスしてきて体を洗っていると、澪が何気ない感じで口を開いた。


「そういえば、紫音先輩って、雅先輩と付き合ってるんですか?」


!?


思わず私は振り返ったけど、隣で頭を洗う紫音先輩は動揺した様子もなく「気になる?」と意味深に微笑んでいる。


その表情からは、正確には大人じゃないけど、大人の余裕みたいなものを感じる。


ゾンビだらけになったって常に冷静だし、スタイルだって脱いだらさらに凄くて3人で見とれてしまったほどだ。


もし、恋のライバルなんかになったら一切勝てる気がしない。


「気になります! ねっ、あおい!」


「えっ!?」


なんで、私にふるの……。


「あら、あおいさん。そうなの?」


「ち、違いますよ! わ、わたしは別に柏木先輩のこと……」


「ええっ! あおいちゃんって純也くんと付き合ってるんじゃ──」


「さ! 小百合まで何言ってるのよ。そんなわけないでしょ!」


なんなんだろうか……。みんなして勘違いのオンパレードだ。


だいたい、こんな必死でゾンビから逃げてる状況で好きとか付き合うとか、そんなこと考えてる暇なんてないのに……。


「あおいちゃん、本当?」


おとなしい小百合が、すごく食いついている。


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