Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「私は、誰とも付き合ったことないし、どこからが男の人を【本気で好き】って感情なのか、まだよく分からないの」
「そうなんだ……」
誤解を解くためにも、一応真面目に答えると、小百合がいつも以上にしおらしくなってモジモジしだした。
「……じゃ、じゃあ……。も、もし私が、……えっと、その……」
口の中でモゴモゴ言ってるからよく聞き取れなくて、近づくと顔が赤くなっている。耳まで真っ赤だ。
「どうしたの?」
「あ、あのね……わ、わたしが、純也くんのこと、好きって言っても何とも思わない?」
「へっ?」
突然の告白に、すぐに頭が追いつかなかった。
「小百合が、純也を?」
「……う、うん」
「ええええっっー!」
思わず叫んでしまった。
ゾンビが現れてから、初めてゾンビのことを忘れた。
だって、なにがどうなったらそんなことになるのかさっぱり分からないし──、それに何故だか胸の奥が少しざわつく……。
「うそ! いつから好きだったの!?」
澪が、茹でダコみたいになっている小百合の肩を揺する。