Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「え、えっと、ずっといいなって思ってただけなんだけど、教室の前でゾンビに囲まれてもう
ダメだって思った時に、助けに来てくれた姿がすごくかっこよくて…………王子様みたいだったの」
そう言って、恥ずかしいのか、湯船にぶくぶくと顔を沈めてしまう。
「……王子? あのゴリラが?」
最後の言葉にだけは賛同できなかったらしく、澪が渋い顔を小百合に向ける。
「いいじゃない。純也くん、男らしくて素敵じゃない」
と、紫音先輩は楽しそう。
その後、交代して湯船に入り、小百合をからかい続ける澪をぼーっと眺めていたら紫音先輩が、
「付き合ってないわよ」
と、耳もとで囁いた。
一瞬何のことを言ってるのか分からなくて頭に?を浮かべていると、今度は澪が、
「みんな聞いて」
と、ガバッと立ち上がり胸の前で拳を握りしめた。
唇を引き結んで、眉間に皺まで寄せている。
珍しく真剣な顔をして、一体なにを言おうとしているのだろう。
小百合と一緒に首を傾げていると、澪は拳を高々と突き上げ、こう宣言するのだった。
「澪は今日、武志と一緒に寝る!」