Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

男子もお風呂に入って服も洗い、みんなで夕飯を食べて、その後は思い思いに時間を過ごした。


食事中、テレビをつけてみたけど、ニュースは昼と同じで新しい情報は得られなかった。
確実なのは『有害ウイルス漏出』『浦高市は緊急避難区域』、『速やかに避難を』の三つだけ。ゾンビに関することは一つもない。


武志は「情報規制でもされてるんじゃないか」とかなんとか言っていた。


それが何を意味するのかは分からないけど、浦高市から脱出しなきゃいけないことに変わりはない。


私はやることもなかったので、なんとなく気になって外に出てみた。


音を立てないように、そっと外に出た。


庭に立つと夜風が吹き抜けていく。


今日は熱帯夜ではないらしく、昼間の暑さが嘘みたいに気持ちいい。


「あおいか?」


「!?」


薄暗がりから声がして、一瞬ビクッとする。


目を凝らしてみると、庭の中程にベンチがあって、そこに夕食後姿の見えなかった武志が腰掛けていた。


てっきり澪と一緒だとばかり思ってた。


「涼みにきたのか?」


「うん、そんなとこ」


「座るか」


そう言って、ベンチを半分開けてくれたので、遠慮なく座る。

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