Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「武志は何してたの?」
「俺は見張り。念のため純也と雅先輩と交代で見張ることにした」
「それなら、私もやるよ」
「いや、女子はご飯作ってくれたし、ちゃんと寝ないと体力面でも心配だから、ここは俺たち男がやる」
「でも、男子だって疲れてるでしょう」
「いいや、平気だ。──それより、あおい」
まだ、私は納得してなかったけど、武志の声音が急に変わる。
「もしも、の話なんだけどさ……」
なんだろう……。
言い難いのか、渋い顔をしている。ひとまず、見張りの件は置いといて、話を聞くことにした。
「あくまで、もしもだぞ」
「なあに?」
「もしも……、万が一、俺が死んだら澪のこと頼むな」
ずるい……。さっきの澪や小百合と同じ、すごく真剣な表情だ。
これじゃあ「死ななきゃいい」なんて切り返せない。
「……うん、わかった」
仕方なく頷くと、武志はほっとしたように表情を和らげた。
でも……。
「その代わり、私とも約束して」
「? ああ、もちろん」
「万が一でも億が一でも死なないで」
「はっ?」
「約束ね」
「それじゃあ意味が──」
「や・く・そ・く!」
キッと睨みつけてやると、武志は数秒固まった後、はあ~と諦めのため息を吐く。
「……わかったよ。お互いに約束しよう」
矛盾だらけの約束……。これが私の精一杯だ。
誰にも死んで欲しくなんかないし、そんなこと考えたくもないから。