Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
会話が途切れたところで、ちょうど玄関が開いて、家の明かりに小さなシルエットが映し出されていた。
あの小柄な体型は澪だ。
武志も気付いたみたいで、私との距離をちょっとだけ開ける。
また、怒られると思ってるのかな。
「武志。見張りって次の交代まで後どのくらい?」
「30分くらいかな」
「じゃあ、代わるよ」
「なんで」
「澪、武志に大事な話があるって言ってたよ。どうせ私はまだ涼んでるから、行ってあげて」
「だけど……」
「何かあったら、すぐにみんなを呼びに行けばいいんでしょ。大丈夫、そのぐらいできるよ──澪!」
手をあげると、澪がこちらに歩いてくる。
「ほら、はやく行かないと、また『仲良くしてた~』って誤解されるよ」
ほっぺを抓られたのを思い出したのか、武志は顔をひきつらせて、
「じゃ、じゃあ、悪いけど少しの間だけ頼む」
と、澪の方へと小走りに向かい、そのまま2人は家の中へと消えて行った。
途中、「えっ、違う──痛て、痛てててて」っていう声が聞こえてきたけど、そのへんはまあ、ご愛嬌だ。
この後、2人がすることを考えると他人事ながらドキドキとしてくる。
私はまだ、キスでさえ経験がないから未知の世界だ。