Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

私もいつか誰かと、そんな関係になるのかな……。
なんて妄想してたら、突然、誰かが隣にドカッと腰を下ろした。ベンチがグラっと揺れる。


「きゃっ!」


「なにしてんだ?」


純也だった。


「ちょっと、ビックリさせないでよ、もう!」


「声はかけたぞ。あおいがボケ~っとしてただけだろ。考えごとか?」


言えるわけない……。ちょっと、本当にちょっとだけど……恥ずかしいことを考えてたなんて。


「そ、それより、純也こそ交代には早いんじゃない」


「眠くなったから、早めに来ただけだ」


うまく誤魔化せたかな。自分でも顔が赤くなってるのが分かる。


「あおい」


「な、なに!」


思わず声が裏返ってしまった。純也が怪訝そうだ。


「もう戻っていいぞ」


「えっ?」


「俺が見張るから家で寝ていいぞ」


……あれ?


そう言えば、私が武志の代わりに見張りをしてるって言ってないのに。


普通なら、武志がいないことを疑問に思うはず。なのに、純也は平然としている。


もしかして……。武志に聞いて、早めに来てくれたのかな?


きっとそうだ。


純也は昔から変わらない。素っ気なくてガタイもいいから結構怖がられたりするけど、実はやさしい。


幼稚園の頃から、虐められてるとよく庇ってくれたっけ。


今日だってそう。小百合も、きっとそういうやさしさが見えて好きになったんだと思う。


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