Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
ショウソウ
バババババババッ────。
大気を震わす轟音が、目覚まし時計の数倍の威力で寝不足の頭を叱咤する。
昨日、家の居間に戻り、眠りについたのは夜中の2時過ぎ。
壁掛け時計に目をやると、まだ6時を回ったところだった。
それにしてもうるさい……。
音の原因を確認するため、まだ朦朧とする意識ながら外に出ると、庭先で紫音先輩、武志、柏木先輩の3人が真っ青な空を見上げていた。
音の正体はプロペラの二つ付いた鉄の塊(かたまり)。かなり近くを低空飛行している。
「ヘリコプター?」
「起きたか!」
私に気付いた武志が振り返る。
「自衛隊のヘリだ!」
武志にしては珍しく少し興奮した様子。
武志……そんなにヘリコプターが好きだったんだ。
「でも、ちょっとうるさくない?」
「寝ぼけてるのか。ヘリだぞヘリ!」
「それは、見ればわかるけど……」
「救助だよ! 救助!」
「あっ!」
一気に目が覚めた。ぼんやりとしていた脳が高速で情報を処理し始める。
「助けがきたの!?」
「この状況で大型輸送用のヘリだ。まず間違いない」
「でも、どこに降りるの?」
大きなヘリが着陸できる場所は限られてくる。
それに、あれだけの轟音。下手に降りれば、たちまちゾンビに囲まれてしまうのは明白だ。
救助だというなら、大型ヘリが離着陸できる平らで広いスペースがあって、尚且つゾンビを寄せ付けない閉鎖された空間が必要。