Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「きゃあああああっ!」
突如、晴れ渡る空に木霊する悲鳴。
咄嗟に振り向いたそこには、信じられない、いやそれが現実だとは信じたくない光景が広がっていた。
ばったり、と地面にくずれ落ちる澪。
その上にゆっくりと這い上っていく少女。
追いついた武志が少女を蹴り飛ばす。
「澪!」
私は即座に走り出していた。
後ろで純也がなにかを叫んでいたけど、まったく耳には入らない。
頭の中は、事実を否定する言葉でいっぱいだった。
こんなの嘘だ……澪が……絶対に違う。だってあれは、ただの子供で──。
なのに……。
たどり着いた私の目に映ったのは……。
ふくらはぎから血を流す澪の姿だった。
「澪! しっかりして!」
「ゾンビだ。あの子供、ゾンビだったんだ」
武志が、声を震わせ、
「子供だと思って油断した。──クソッ! 一人で行かせるんじゃなかった」
涙目で傷口を押さえるが、手の下からは真っ赤な血液がドクドクと溢れ出してくる。
「……うっ……」
顔面蒼白な澪は必死で痛みを堪えている。
澪がゾンビに噛まれた……。それは紛れもない事実。
なら──。