Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
武志、どうすればいいの! 私なんでもするから教えて! 早くしないと澪が!」
ゾンビになってしまう!
「ねえ、聞いてるの武志! なんとかしてよ! 澪を守るんでしょ!」
私は弓を投げだし、武志の肩を強く揺さぶった。
ゾンビに噛まれたら死ぬかゾンビになる。昨日散々見てきたからそんなことは分かってる。
どうすることもできない。
でも澪が……そんなの耐えられない。
「──あ、おい……。武志を、責め、ないで」
澪の細い指先が、武志を掴む私の手に触れた。
「み、お……?」
「ごめんね、澪、ちょと……うっ……気が、ゆるんでた、みたい」
言いながら苦しそうに上半身を起こすと、武志が片手でそれを支える。
「……だけど、まだ、死に、たくないよ……武志の、お嫁さんに、なってないよぉ」
なにも言葉がでなかった。
武志にすがりついて泣く澪にかけられる言葉を、私は持ち合わせていない。
なにもできない私は、ただ、一緒になって泣くことしかできなかった。