優*雪

睦 セツ セツ目線

睦君の実家に戻ると


「おかえり。なぁ、仕事どおや?」


さぐりやな


「ただいま 楽しいよ?」

「そんなに医者になりたかったんか?」

「そうや?」


別になりたかったわけじゃない


「大阪行ったり来たり大変やん?」

「友達増えて、ええやん」

「慶喜様の医者になればええのに」

「顔バレてんのに?」



「そうやな…」



睦君は、時々まぬけ

うちみたいに、いつもよりええか


「抜け身になってまで
やりたいことやったんかな?
って気になったんや」

「わるい?」

「いや、新選組に入ると思ってたから」

「新選組は大丈夫や!」



土方さんがいる

近藤さんや皆がいる



「うちがおったら、迷惑やん?」


「迷惑って、誰かゆったんか?」

急に、睦君が怖い声で言う


「言われんでも、わかるよ。女なんよ?」

ついつい、うちもムキになる!


「雪は、男やろ!」

「雪かて、うちやん!」

「女かて、男並みに戦えるやないか!」

「並みなだけで、ついて行かれへん!
結局うちは、女や! 邪魔になる!!」

「やってみな、わからんやろ!」

「やって、『いらん』『邪魔』『迷惑』やって言われるんは、嫌やねん!」


ムキになりすぎて、涙が出て来た

あかん


「今まで、男に負けたとこ見たことない!せやのに何でかなって…  ごめん」


睦君が謝るけど…



うちは、帰ってきたばかりの家を出た



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