優*雪
隠し事
「今年のひまわりが最後やって」
小さな声だった
「え?」
慌ててセツの顔を見る
「心の臓の病なんやて
もう紅葉がみれへんから
優菜の最後は紅葉にしてん
総司さんも、一緒に見れてよかった」
ニコリと笑いながら言う
自分が労咳だと言われた時より困惑し
胸が締めつけられた
「う … そだよね?」
セツは沖田の目を見た
「ほんまよ」
沖田がセツに口づけする
「んんっんー!」
セツが沖田の胸を押し離れる
「総司さん…うち…」
「言わないで!わかってるから!
二度も振られるのはつらいから」
沈黙
「うちに何かあったら、ここに連れてきて
バレないように
うちも先生から薬もらって
バレないように渡すわ」
「うん」
「うちが死んだら、芹沢さんの近くに
墓作って、うちと関係ない名前を
総司さんがつけてくれへん?」
「私がつけていいの?」
「総司さんがええの!」
「嬉しいな!隠し事はもうない?」
「うん。ない!」
悲しい事実を知った二人なのに…
お互いを愛おしむように、抱き合い笑った