優*雪
夜、御所に入り、影朗と会う
用事がすぐ終わった
兄上に会いたい…
兄上には、優菜を死んだことにするとき以来 会っていない
兄上は、俺を可愛がってた
東宮にするとまで言ったくらい
母上がなくなった後
女として生きられるように優菜と名づけ
「生まれかわれ」と言ってくれたっけ…
結局、嫌で逃げた
忍として御所で再会した時、責めることもなく、喜んでくれて
あの刀をくれた
「男として一人前になれ!」
兄上がそう言ってくれたから
俺は神咲の総頭首になれた
女で二つの組に属することも珍しい
二つをまとめる頭首は
簡単なことではなかったが
仲間に恵まれた
優菜を死なせたいとお願いした時
「父上のつけた名前だけは、残せ!」
といわれた
〝 優の宮雪子内親王 〟
母上の名前が 小雪 だから雪のつく名前
俺の中にある残された女の名前
雪子になることはないけど
兄上と約束したからでもなく
俺もこの名前だけは、残したかった
思えば生まれたときから
男と女の二つ名前があった
父上と会うときは女だった
母上といるときは男だった
父上も兄上も、毎日のように会いにきてくれた
会いたいな……
うー。
どうしょ。 ちゃんとお別れも言いたい
今回の件が片付いたら、会いにこよう
そうしよう……