優*雪
いつの間にか寝てしまっていた……

俺に布団が掛かっていた

雪がいない、布団はまだ温もりが……


門番に雪之介の行方を聞く


セツを追って走った日を思い出した

今度こそ、捕まえなければ……

薄暗い中で見えた

ふらふらの雪之介を捕まえる


「ふぇ?…な…んで?」



よくここまで歩けたな?
俺の腕の中でぐったりする

右手が一軒の家を指す

「つれ…てって……」

言われたとおり、家の中に入る


家の中に入った途端に

ごぼっっ

喀血する… はぁはぁはぁはぁ ごふっ


息を乱し、また血を吐く


「おい!!」

「み……ず……」


飲み水を用意してやると、懐から薬を取り出した

その薬を受けとり、口移しに飲ませる

意識を失った……

濡らした手ぬぐいで顔を拭いてやる

着物も血がついている、寝間着を探し出す

着物を脱がせていくと
平助を助けた時の傷が痛々しい

そっと触れる

きつく巻いたさらしをとり
寝間着を着せてやる


いつも一人でこの苦しみと闘ってるのか?

だから、寝れていない?

そばにいたい……

しかし、俺が門限を破るわけにはいかない


「ごめんな」


雪の頭を撫で、口づけをして家をでた








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