優*雪

永倉目線


手向かう者がいないので、意外にはかどる

広めな部屋に集め、逃がさないように見張りに指示してから、土方さんの所へ戻る

「優太は !?」

「まだだ」

土方さんも心配そうだ


俺は、総司が人をはじめて斬ったあの日から、優太が幼なじみと、重なってみえるようになっていた

それに…優太の髪、優太の声、喋り方

優太が、顔を隠しているのは…


俺がいるからかもしれない…



「くっ! くるなぁー!」



奥の方から、優太と別の声が聞こえた!

土方さんと俺は声の方に向かった…!



部屋に入ると男が仲居を人質にしていた

おそらく、彩月だな

彩月の首には短刀が突きつけられていた!

「何事です?」

総司も駆けつけ、この状況に目を開く!


優太は人質を取られているにもかかわらず、冷静にゆっくり近く

「ひっ!ひぃーっ!くるなー!」

男が優太の方に短刀を向けた瞬間
彩月が頭を下げ、優太が男の頭を思い切り蹴り飛ばした…

ドカッ!!


息ピッタリ!!


そして

「うわぁーーん!優ーごめんなさーい!」


彩月は優太に抱きつく、優太も彩月を抱きしめる


彩月は、優と呼んだ 雪ではなかった


分かっているつもりだった


優太は雪じゃない


でも、優太が雪じゃないと言いきることもできないでいる


俺は、雪に会いたい…

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