優*雪
慶喜のところを出たけど、

容保と喧嘩したから、黒谷は無理!

心が不安定すぎて
浪士組に合わせる顔がない!

蕎麦屋で、へらへら笑うのも無理!

島原なんて、論外!

御所で、仕事も無理!



気づいたら……

新の家だった


だけど、「中に入れ」と声がかからない



~まさか……

家の中に入ると……

身綺麗にして、布団の中で動かない新


~やっぱり……


新は、冷たくなっていた

衣服や布団が、乱れていないから
安らかに逝けたんだ


~なんで…


枕元には、俺宛の手紙と総司宛の手紙

手紙の中には
俺を心配する言葉がたくさん
俺に生きてほしいという言葉がたくさん

最後に…
家ごと燃やしてほしいと書いてあった

新を送るため、一晩中線香を絶やさずに、今までの思い出を振り返る。

翌日、お経をあげ、総司宛の手紙を懐に入れてから、家に火をつけた。

辺りに、燃え移りそうなものがないのは、新がこの家を選んだ理由。


「新月様。お世話になりました。」



炎をみつめ、呟いた。


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