私がいて君がいて
「凛杏、ちょっと1時間目ぬけるね」
そう言って、私は屋上まで夢中で走った。
重たい鉄の扉を開けると、冷たい風が強く吹き当たる。
冬の空はどこか寂しげで、だけど大きくて。
どこまでも続く青空が、私は好きだった。
それに、屋上は空が一番近く感じられる場所。
どうして乃愛だったのかな。
松本乃愛は、学年で1番だと言われるほど男子からの評判が良くて、有名だった。
それに比べ、私は平凡で顔だって、スタイルだってどこにでもいる女子高生。