泣き虫彼氏と強がり彼女。【下】
長い廊下を歩く三人。

響く音は蓮唯の足音だけ…。

(なるべく…なるべく音を立てないように…)

蓮唯は足に全神経を集中させた。

「蓮唯…。音なんて気にしないでいいよ。」

優はそう言うと今までの歩き方とは別の歩き方をした。

〝ダンダンッ…ダンダンッ…〝

「ゆ、優!?ダメだよ…

音を立てちゃいけないって聞いたことが…」

蓮唯は優を止めた。

「大丈夫ですよ。蓮唯さん。」

佳はそう言うとしゃがんで襖(ふすま)に手をかけた。

〝スッ〝というわずかな音と共に襖が開けられる。

〝カタカタッ〝

ここに来て蓮唯は緊張をした。

「緊張してるの蓮唯?」

優は蓮唯の前に立って聞く。

「なんだろ…なんか…」

「大丈夫だよ。蓮唯なら。」

優はそういい蓮唯のおでこに優しくキスをした。


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