泣き虫彼氏と強がり彼女。【下】

....数ヵ月後.....

優はいつものように父、緋月と一緒に稽古に来ていた。

「優先生。今日はなにをするんですか?」

若い女性が優に声を掛ける。

「そうですね…。なにをしましょうか。」

雅司家の稽古は二つに分かれていた。

30～80歳の方は父、緋月の稽古。

10～30歳の方は優の稽古というふうに分かれていたのだ。

「じゃぁ、今日は鈴蘭を使いたいです!!」

「鈴蘭…ですか。いいですね。」

基本、優の稽古はその日に決まる。

なにを生けるのか。

「優様。龍宮寺様からお電話です。」

佳が優の携帯を持って近づいた。

「龍宮寺さんから?」

優は生徒の方達に一旦礼をして部屋を出た。

「もしもし?」

『もしもし!?雅司君!?』

「どうしたんですか?」

優は落ち着いて聞く。

『蓮唯がっ…う、産まれそう!!

北中央病院に今すぐ来れる!?』

「なるべく急いで行きます!!」

優はそういい電話を切った。

「申し訳ありません皆さん。

子供が産まれそうなので今日は休講ということでよろしいでしょうか?」

「わかりました。先生。

無事お子様がお生まれになるのを願っております。」

一人の生徒がそう言うと周りの生徒は口々に行った。

「ありがとうございます。」

優はそういい出て行った。

「佳、父様にご報告してきてくれ。」

「かしこまりました。」