ながれぼし
国語の先生のくせに日本語が苦手なのは、本当に呆れる。
しかし、担任が言ったことは間違ってない。
あたしには友達がいない。作りたくもない。
なのに、
「おっはよー!」
あたしにつきまとってくるクラスメイト。
「おはよ」
「ちょっとー!名前覚えてくれた!?」
名前…
「あ、ごめん。なんだっけ?」
「はぁ?真琴!杉浦真琴!もう毎日言ってるのになんで覚えないのー!」
「うん」
クラスメイト…真琴は、毎日しつこくあたしに付きまとってくる。
誰とも関わりたくないあたしにとって、真琴の存在はかなり邪魔だったりする。
「っていうかさ〜」
そう言って、鞄の中から紙を取り出した。
「明日の学食!同じ金額でカレーの量2倍になるって知ってる!?」
真琴がだした紙には大きくカレーの絵が描かれていた。
「知らなかっ…」
「マジ!?カレー2倍?」
あたしの話を遮って声の低い、少し幼い男性の声に遮られた。
「ぇ、あ、うん」
さすがの真琴でもこの動揺だ。
「こりゃカレー食べるしかねぇよなー」
「だれ?」
あたしは勇気をだして聞いてみた。
「ん?ぁあ、俺は清水浩介。お前らは?」
「はい!あたしは真琴です!全然呼び捨てでいいですよ!!」
相変わらずのガツガツな性格に少し呆れてしまった。
「ぉ、おう。真琴な。よろしく」
「…で、隣のは?」
「浅沼英里華です」
「おっけー!じゃ、またカレーの時に」
そう言って彼は笑顔で行ってしまった。
彼、…浩介は無邪気で明るくて誰からでも好かれそうなタイプの男だった。
でも、どこか寂しそうで裏があるような笑顔。少し自分にも似ている気がする。

あたしとあなたはこうやって出会った。
運命っていう言葉だけじゃ語れないくらいあたし達は何かで結ばれてたんだ。
そうだよね…浩介?
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