君が教えてくれた空


「おやおや、空を見上げるなんて最近の子には珍しいわね。」




「えっ!誰!?」

私の他にも屋上にいたみたいだ。


そういって振り向くと、


そこには車椅子に乗ったお上品なおばあちゃん?が微笑んでいた。




「うふふふ。お嬢さん、お名前は?」



「芽生、です…」




「芽生ちゃんね。私は美紀子って言うの
美紀ばあちゃん、なんて呼んでくれると嬉しいねえ。」



仏のような微笑みで彼女は笑っていた。





「は、はい。」


しばらくその優しい笑顔に見惚れていたが、はっと我にかえり、返事をした。




「ふふふふ。そんなにかしこまらないでいいのよ。敬語なんて使わないで、ね?

私のことは本当のおばあちゃんと思ってもらって結構だからね。」





ーーそれが、美紀ばあちゃんとの出会いだった


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