君が教えてくれた空
小学校を卒業した春休み。
それは起こった。
その日も俺は1人で母さんがあらかじめ作っておいた夕食を食べていた。
リリリリリリリ リリリリリリリ
1人の部屋に無機質な音が響く。
嫌な予感がした。
あの時の事が頭をよぎる。
「はい。佐伯ですけど…。」
「あ、佐伯良子さんのお子様でいらっしゃいますか?
お母様が職場で倒れまして、今病院に運ばれているんですが非常に危険な状態です。
至急病院に来てもらいたいんですが、少しそこからは遠いので病院の者を向かわせました。
それでこちらへ来てくださいーーー」
は なんだって…?
母さんが、倒れた。。?
非常に危険な状態…?
俺はそんなに大人な心は持ち合わせてはいない。
動揺を隠せるわけがない。
電話の向こう側の声がどんどん遠ざかっていく。
聞こえない。何も