君が教えてくれた空



春一番の風でなびく短めの髪の毛をが耳にかけ、顔を上げた彼女と目が合った瞬間を俺は絶対に忘れないだろう。



話しかけると何故か敬語で、変な女だなって思ってた。


それに俺のことを見てもこわがりもせず、猫なで声で寄ってきたりもしない、

そんな女を見たのは初めてだった。



俺のことを恐怖の対象か顔目当てで来るやつばかりだった。


だから、少しだけ信用してもいいかもと思えた。



それに、目が死んでたからな。

人の事なんて普段は気にならない俺が、この時だけは気がついたんだ。


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