私を惚れさせて。私の虜になって。
お母さんの声を背中で受けて、ヒリヒリする頬をなんの手当てもしないでジャージ姿で家を出る。

「…間に合った…」

ギリギリで塾に着く。

自習室は、ほぼ私たち3人しかいないけど、

ちゃんと自分の席を確保して、授業に必要なものだけ持って授業に出た。





「あざーしたー!」

松木もまーくんも同じ時間に授業だった。

これから何時間も、みんな授業はない。

「終わったー」

私が入って、3人が揃う。

試験も近いから、黙々と勉強をしている。

「すがちゃんここ教え…」

松木の声が止まる。

「え、何?どこ?」

「お前…どうした?」

「は?」

「まー!すがちゃん変だよな!?」

松木はやたらに慌てている。

何。顔になんかついてた?

まーくんもこちらを見る。

「…菅原…」

「え?なんで2人ともそんな引いちゃって…」

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