私を惚れさせて。私の虜になって。
「大丈夫?」

「うん」

鏡越しで、目が合う。

「嘘じゃん。ぜってーいてーよそれ」

「大丈夫。治るよ、いつか」

そう言って、いたたまれなくなって、席に戻る。

やる気、なくなっちゃったな。

「…松木は?」

私について、戻ってきたまーくんに聞く。

「なんか、買い物とか言ってた」

「へー…」

喉でも乾いたんだろう。

「聞くよ」

まーくんは私の隣に座る。

「いい」

「聞かせてよ」

「ヤダ」

話したくない。

「じゃー、いっか」

まーくんは笑う。

「面白い顔してんな」

そのまま、マジで笑い出した。

「うるさいっ。見んな」

顔を伏せて机に突っ伏す。

< 115 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop