私を惚れさせて。私の虜になって。
「すがちゃん、顔上げろ」

「なんで」

こんなの、見られたくない。

「いーから。上げろ」

「やだ」

「早く」

理由も言わないで、松木は私を急かす。

こんな顔、見せるもんじゃないから私だって動かない。

「あー!もう!」

イラついた声を出して、何やらガサガサと動き出す。

そして。

「つめっ…」

私の頬に何か冷たいものが当たった。

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