私を惚れさせて。私の虜になって。
「あ、いくら?」

私は、一旦ビニールに入った氷を置いて、財布を出す。

「3万」

「はっ!?」

「嘘。いらねー」

松木はニカっと笑う。

「えー…」

「つか、そんなことよりそのほっぺなんでそんなんになってんだよ」

「いろいろ」

「わかんねぇ。それじゃ」

松木はいつかみたいに、がっついてくる。

「殴られたの。グーで2発」

「…男?」

「1人は女。もう1人は男みたいな力」

「…殴られたんだ?」

「うん」

すっかり忘れてた氷を松木は私に渡す。

「…痛い?」

「うん」

松木が私の頬を触る。

「…によ」

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