私を惚れさせて。私の虜になって。
「はいよ」

いっぱいに入った水を私の隣に置く。

「うん」

なんで、お礼が言えないんだろう。

「氷は?」

「んー、そこ」

取りに行こうとすると、

「座ってろ」

まーくん、今日はやたら優しい。

「うん…」

食品保存の容器に詰めた氷。

いつも、途中でなくなっちゃうんだけど。

「ねーそれ、どんくらい冷たいの?」

「指、突っ込んでみ」

差し出した洗面器に恐る恐る手を突っ込むまーくん。

「つめっ…やば」

「でしょ」

なのに、なかなか頬は元に戻らない。

「やったのって、誰?それ」

「小学校違うよどっちも。まーくんが知らない人」

「そっか…」

知っている人だったら、どうするつもりなんだろう。

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