私を惚れさせて。私の虜になって。
駅の改札前で2人を待つ。

6時50分の約束だから、もう少しなはず。

もう、雨だし…。

山道歩くの、やだなぁ。

テスト受ける前にもう萎えそう。

「はよ」

「お、はよ」

まだ目がしょぼしょぼしているまーくん。

「ねみぃ」

「うん。見ればわかる」

「昨日さぁ、気づいたら寝ててさぁ」

「だから、髪濡れてるのね。朝シャン?」

「そうそう。雨だし」

雨水で朝シャンだったらどうしようとか考えながら、時間を過ぎたのに来ない松木を待つ。

「あ、来た」

まーくんが指差すからそっちの方向を見ると、

傘片手に両手を挙げて盛大に登場してきた。

「遅刻だってのに随分と大きな登場ですね」

「るせ。行くぞ」

3人で並んで改札を抜ける。

ホームに着くとまーくんとお揃いの学校カバンを開けた松木。

何事もないような平然とした顔で食パンをかじりだす。

「…寝坊か」

「そうね」

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