私を惚れさせて。私の虜になって。
そして、電車が来る。

それに乗り込んで、松木とまーくんはどかっと座った。

朝早い日曜の電車なんて貸切状態。

「近い。離れろよ」

松木がまーくんにすごむ。

まーくんはすぐに怖気付いて少しずれた。


…面白いぐらい、わかりやすい関係だ。

どこに座ればいいか迷った挙句、私は2人の向かいに座った。

「寝る」

「俺も」

そういった2人はすぐに寝息を立ててしまう。

…どんだけ眠いんだか。こんなんじゃ、本番頭働かないよ?

乗り換えの駅になったら、起こさなきゃ。

私まで寝ないように、気をしっかり持って静かに座っていた。

「うーっわ…」

ひどい雨。

靴下、もう一個持ってきて良かった。

ほんと、なんかやだなぁ。

変な予感がするよ。こんな真っ暗な空じゃ。



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