私を惚れさせて。私の虜になって。
そこ見計らったように道が広くなる。

そこでびっしょりになったまーくんが横に並ぶ。

「…やば」

「へーき」

「寒くない?」

「だから、へーき」

「なら、いいんだけど」

でも、間違えなくまーくんは寒そうだ。

カイロでもあげよう。

「ね、ちょっと入れて」

やたら大きい傘を差してる松木に言った。

「は?…」

私は強引に入って、自分の傘を閉じる。

カバンを漁って、カイロを出した。

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