私を惚れさせて。私の虜になって。
了解を得たまーくんは、壁にもたれ掛かって目をつむり出した。

沈黙が流れていて、

なんとも、いたたまれない気持ち。

閉まらないのか、閉めないだけなのか、開いた窓から冬の風が吹いた。

「寒いな」

「あ、借りてた」

その言葉で思い出したカイロを松木に返すけど、

「いいよ。持ってろ」

「でも…」

「いーから」

それを返させてくれない。

「…ほんと、真っ暗だね」

松木の顔もいまいち見えない。

「だな」

「不気味じゃない?」

人はいっぱいいるはずなのに、無限に続く暗闇。

「…怖い?」


< 184 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop