私を惚れさせて。私の虜になって。
あのときは、

とっても、楽しかった。

悩み事なんて、ありません、って感じでさ。

すーっごく、楽しかったな…。

「うぅーっ。…」

涙は一向に止まりそうにない。

膝を抱える私の手を、松木が握った。

ぎゅうぅって、強く。

「…やだ」

欲張りに、なってしまう。

そんなんじゃ、足りない。

寂しくて、悲しくて、

あったかさが、足りない。

「ん?」

「…ま、まーくん、にいわない、でよ?」

「わかった」



「ぎゅーって、して」

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