私を惚れさせて。私の虜になって。
「…ん」

私の我儘を了承してくれて、

「顔上げろ」

言われた通りにする。

きっと目は見られないぐらい酷いことになってる。

それでも、驚きを隠した松木は、平然と、

「来い」

あぐらをかいた、自分の足を叩く。

「えっ…」

「来ないと、やんないぞ?」

「…うん」

しぶしぶ、というほどでもないけど。

松木の足に、恐る恐る跨った。

「ん、」

その瞬間に、いつかぶりの暖かさが全身に伝わった。

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