私を惚れさせて。私の虜になって。
頭を後ろから支えれて、

松木の胸に押し付けられた。

「だれも、見てない?」

「見ててもいいだろ」

「恥ずかしいね」

「別に。嬉しいぐらい」

頭をポンポンと撫でる。

「なにそれ」

「好きだもん」

「…そ」

私をぎゅっと強く抱き締めた。

だから私も松木のYシャツを掴む。

「ね、寒くないの?」

「なにが?」

「これだけで。私ずっと学ラン持ってて…」

「いいよ。全然」

「ありがと」

顔を見てないぶん、素直にお礼が言えた。

「…顔、あげて」

手を離して、そう言った。

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