私を惚れさせて。私の虜になって。
「おう。任せとけ」

力強く言って、言葉とは裏腹に優しく私を抱きしめた。

「だから、1人で泣くな」

胸に顔を押し当てられる。

「うん」

「良い子」

松木の匂いが一杯する、この胸の中が、私、大好きかもしれない。

「なぁ、すがちゃん」

「なに」

「好きだって、言ったよな」

松木の顔は、見えない。

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