私を惚れさせて。私の虜になって。
「うん…」

「すがちゃんも、好きって言ってくれたよな」

「……言った」

確かに。

この優しさが、あったかさが、大好きなんだ。

「じゃあ、文句ねぇだろ」

私を、大好きな胸から引き剥がす。

「付き合お」

「……本気で、言ってんの?」

私は、私は。

「もちろん」

「私、これからどうなるか分かんないよ?」

それでも?

「分かんないって…」

「お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、みんな、いなくなったんだよ?私、本気で独りぼっちだよ?いわゆる孤児ってやつなんじゃないの?」

「すがちゃん…落ち着いて…」

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