私を惚れさせて。私の虜になって。
私はペットボトルに手を掛けて、

力一杯蓋を開けようとするけれど、

うまく力が入らない。

力って、どうやって入れるんだっけ…。

「貸せ」

おにぎりを咥えたまま、私のそれを奪い去って、

簡単に蓋を開けてしまった。

「…どーも」

こんなことも、出来なくなったのか。私は。

「ん」

なんか、また嫌になる。

「食わねぇからじゃん?」

「なにが」

「食わねぇから何にもできなくなるんだろ」

「…そうかな」

「そうだ」

最後の一口を食べ終えて、そう言った。


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