私を惚れさせて。私の虜になって。
私の頭をポンポンと撫でる。

「まーくん、起きないね…」

恥ずかしくって、話を変えるけど、

「寝かせとけよ」

それはすぐに終わってしまった。

「私、まーくんの分のご飯貰ってくる」

久しぶりに立ち上がって。

「や、いいよ。俺が…」

「いいのっ」

立ったらどうしようもなく、歩きたくなった。

「……そうか」

なぜだか、私を止めたけれど。

気になりつつも、たくさんの人だかりに向かった。

「あ、あの子じゃない?」

「そーだよ!」

私の方を指さしている。

「男をねぇ…たのしいんだか」

男…?

「学ラン借りてるの私見たよ!女に友達いないんじゃないの?」

「しずかちゃんタイプ?ウケるー!」

おにぎりと、水。

早く、はやく帰ろう。

松木が、待ってるから。

< 237 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop